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日射吸収率とは?高いとどうなる?熱割れ・遮熱性能との関係を解説

日射吸収率とは?高いとどうなる?熱割れ・遮熱性能との関係を解説

窓ガラスフィルムの性能表で見かける「日射吸収率」。数値が高いほど日射を多く吸収しますが、その割合がそのまま室内へ入る熱の割合になるわけではありません。また、「高いほど遮熱性能が優秀」「高いと必ず熱割れする」とも一概にはいえません。

この記事では、日射吸収率の意味と計算方法、日射透過率・日射反射率・日射熱取得率との違い、熱割れとの関係を、環境省の環境技術実証事業(ETV)資料やJISをもとに、窓ガラスフィルム専門店のヨリ窓がわかりやすく解説します。

日射吸収率とは、窓が日射を吸収する割合

日射吸収率(solar absorptance)とは、窓ガラスに入射した日射エネルギーに対して、ガラスや窓ガラスフィルムが吸収した日射エネルギーの割合です。通常は「%」または0〜1の値で示されます。

日射吸収率(%)= 吸収した日射エネルギー ÷ 入射した日射エネルギー × 100

窓ガラスフィルムの性能値は、フィルム単体ではなく、指定されたガラスに貼り付けた試験体の値として示されることがあります。製品を比べる際は、ガラスの種類・厚さ、フィルムの施工面、測定・算定条件が同じかも確認しましょう。

JIS R 3106:2019は、板ガラスの日射に対する透過率・反射率・吸収率などの試験方法と、建築用板ガラスの日射熱取得率の算定方法を扱う規格です。建築窓ガラス用フィルムについては、JIS A 5759:2024が規定しています。

日射透過率・日射反射率・日射吸収率の関係

窓に当たった日射は、大きく分けると「透過」「反射」「吸収」の3つに分かれます。同じ試験条件で、表示値の丸めを考慮すれば、次の関係が基本です。

日射透過率 + 日射反射率 + 日射吸収率 ≒ 100%

  • 日射透過率:日射が窓を直接通り抜ける割合
  • 日射反射率:日射が屋外側へ反射される割合
  • 日射吸収率:日射をガラス+フィルムが吸収する割合

日射吸収率の計算例

たとえば、同じ条件で日射透過率が30%、日射反射率が25%なら、日射吸収率は概算で次のように求められます。

100% − 30% − 25% = 45%

したがって、この例の日射吸収率は約45%です。実際の製品比較では、性能表に記載された測定値・算定値を優先してください。

日射が直接通り抜ける割合を詳しく知りたい方は、日射透過率とは何かを解説した記事もあわせてご覧ください。

日射吸収率50%は「室内に50%の熱が入る」という意味ではない

日射吸収率50%は、窓に当たった日射の50%をガラス+フィルムが吸収するという意味です。室内へ50%の熱が入る、日射熱を50%カットする、室温が50%下がる、という意味ではありません。

吸収された日射によってガラス温度が上がると、その熱は放射・対流などによって室外側と室内側の両方へ移動します。環境省のETV資料でも、窓の日射熱収支を「日射透過量・日射反射量・吸収量」と、吸収後に両側へ移る再放射量に分けて示しています。

その合計を比べる代表的な指標が日射熱取得率です。既存の3mm透明フロートガラスを基準にした相対値で比べる場合は、遮蔽係数が使われます。

日射吸収率と似ている性能指標の違い

指標 示すもの 数値の見方 主な確認目的
日射吸収率 窓が吸収する日射の割合 高いほど吸収量が多い 熱収支・ガラス温度・熱割れ検討
日射透過率 直接通過する日射の割合 低いほど直接透過が少ない 日射の直接流入
日射反射率 屋外側へ反射する日射の割合 高いほど反射量が多い 遮熱方式・外観の反射感
日射熱取得率 室内へ入る日射熱全体の割合 一般に低いほど夏の日射熱を抑えやすい 遮熱性能の総合比較
遮蔽係数(SC) 標準ガラスに対する日射熱取得の相対値 低いほど日射熱を抑えやすい 従来の性能表での比較
可視光線透過率 人の目に見える光が通る割合 高いほど一般に明るく透明感が高い 明るさ・眺望・色味
熱貫流率(U値) 温度差による熱の通りやすさ 低いほど断熱性能が高い 冬の熱損失・断熱性

明るさや見え方を比べる指標は、可視光線透過率の解説で詳しく紹介しています。日射吸収率と可視光線透過率は対象とするエネルギー・波長域が異なるため、同じ数値にはなりません。

日射吸収率が高い・低いとどうなる?

日射吸収率が高い場合

窓が吸収する日射エネルギーが多くなり、条件によってはガラス温度が上がりやすくなります。直接透過する日射を減らす設計に使われることもありますが、吸収した熱の一部は室内側にも移るため、吸収率の高さだけで遮熱性能の優劣は決められません

日射吸収率が低い場合

窓が吸収する割合は少なくなります。ただし、その分が屋外へ反射されているのか、室内へ透過しているのかによって結果は大きく異なります。低いだけで遮熱性能が高いとは限りません。

一般的な傾向 日射の抑え方 確認したい点
反射を活用するタイプ 屋外側へ返す割合を高める 外観の反射感、周辺への反射、昼夜の見え方
吸収を活用するタイプ 窓で受け止め、直接透過を抑える ガラス温度、適合ガラス、熱割れ検討

※上表は仕組みを理解するための一般的な整理です。製品ごとの性能は、メーカーの最新仕様書と施工条件をご確認ください。

日射吸収率が高いと熱割れする?

日射吸収率が高いことは熱割れ検討で確認する要素の一つですが、高いだけで熱割れの発生を断定することはできません。

日本板硝子の技術資料では、直射日光で暖まった部分が膨張する一方、サッシに入った周辺部や日陰部分は低温のままとなり、その温度差による熱応力がガラスのエッジ強度を超えると熱割れが起こると説明しています。

熱割れ検討で確認する主な条件

  • ガラスの種類・厚さ・構成(単板、網入り、複層、Low-Eなど)
  • 窓の方位、地域、季節、日射の当たり方
  • 庇・建物・サッシなどによる部分的な影
  • カーテン、ブラインド、家具・荷物との距離
  • ガラス寸法、サッシへの納まり、エッジの状態
  • フィルムの種類と施工面(内貼り・外貼り)

とくに網入りガラス、複層ガラス、Low-Eガラス、部分的な影ができる窓などは、製品ごとの適合確認が大切です。ヨリ窓では、現地のガラス条件とメーカー資料を確認し、必要に応じて熱割れ計算・適合確認を行ったうえでご提案します。

仕組みと予防ポイントは、窓ガラスフィルムと熱割れの解説もご確認ください。

遮熱フィルムは日射吸収率だけで選ばない

夏の暑さ対策が目的なら、日射吸収率は重要な確認項目ですが、単独で製品を決めるのはおすすめできません。次の順序で見ると、希望とのずれを減らせます。

  1. 遮熱性:日射熱取得率または遮蔽係数を確認する
  2. 日射の処理:透過・反射・吸収の内訳を見る
  3. 明るさ:可視光線透過率を確認する
  4. 見え方:室内外の反射率、色味、夜間の見え方をサンプルで確かめる
  5. 安全性:ガラスの種類と施工条件に適合するか、熱割れを検討する
  6. 付加機能:飛散防止、UVカット、目隠しなど必要な機能を整理する

性能表を比較するときの注意点

同じ製品名でも、貼り付けるガラスや施工面によって性能値が変わる場合があります。比較するときは、試験に使用したガラスの種類・厚さ、内貼りか外貼りか、規格・測定条件、資料の改訂日をそろえてください。

JIS A 5759:2024では、日射熱取得率や熱貫流率を関連JISに沿って算定することで、従来の3mm板ガラス以外にフィルムを貼った場合の省エネ性能も評価できるよう改正されています。JISの位置づけは、JIS A 5759と窓ガラスフィルムの解説をご覧ください。

暑さ対策全体から選びたい方は、窓の暑さ対策と遮熱フィルムの選び方も参考にしてください。

環境省・JISなどの資料で確認できること

この記事では、次の公的資料・一次資料を確認しています。

  • 環境省「平成26年度実証対象技術の環境保全効果等」:窓の日射熱収支を、透過・反射・吸収と、吸収後に室内外へ移る再放射に分けて図示しています。また、日射吸収量を高めて室内への侵入熱量を低減する技術があることも説明しています。
  • 環境省 環境技術実証事業(ETV):窓用日射遮蔽フィルムを、建物に後付けでき、室内冷房負荷の低減に資する技術例として掲載しています。
  • JIS R 3106:2019:板ガラスの可視光・日射の透過率、反射率、日射吸収率、放射率の試験方法と、日射熱取得率の算定方法を扱います。
  • JIS A 5759:2024:建物の窓・出入口などのガラスに用いる建築窓ガラス用フィルムを規定しています。
  • 日本板硝子「ガラス選定シミュレーション」:熱割れの仕組みと、方位・ガラス構成・影・カーテン・施工条件などを考慮した事前検討の必要性を説明しています。

ETVの「実証」は第三者試験機関による性能試験結果の公表であり、JIS認証や、すべての建物で同じ効果を保証するものではありません。実際の効果は窓の方位・面積・ガラス構成・気象条件・空調条件などで変わります。

日射吸収率についてよくある質問

Q1. 日射吸収率とは何ですか?

窓に入射した日射エネルギーのうち、ガラスや窓ガラスフィルムが吸収する割合です。通常は%または0〜1の値で示されます。

Q2. 日射吸収率50%は、室内に50%の熱が入る意味ですか?

いいえ。日射の50%をガラス+フィルムが吸収する意味です。吸収した熱は室外側と室内側の両方へ移るため、室内へ入る日射熱全体は日射熱取得率などで確認します。

Q3. 日射吸収率はどう計算しますか?

同じ評価条件で、概算は「100% − 日射透過率 − 日射反射率」です。表示値の丸めにより、合計がちょうど100%にならない場合があります。

Q4. 日射吸収率は高いほど遮熱性能が高いですか?

一概にはいえません。吸収率が高いと直接透過を抑える場合がありますが、吸収熱の一部は室内側にも移ります。遮熱性能の総合比較には日射熱取得率または遮蔽係数も確認します。

Q5. 日射吸収率が高いフィルムは熱割れしますか?

吸収率は確認要素の一つですが、数値だけで熱割れを断定できません。ガラスの種類・構成、窓の方位、部分的な影、カーテン、施工条件、エッジ状態などを含めた事前検討が必要です。

Q6. 日射吸収率と日射熱取得率の違いは何ですか?

日射吸収率は窓が吸収する日射の割合です。日射熱取得率は、直接透過する日射と、吸収後に室内側へ伝わる熱を合わせた、室内へ入る日射熱全体の割合です。

Q7. 遮熱フィルム選びでは何を比較すればよいですか?

暑さ対策なら日射熱取得率または遮蔽係数を軸に、日射透過率・反射率・吸収率、可視光線透過率、外観、ガラスへの適合性、熱割れ検討を同じ条件で比較してください。

まとめ|日射吸収率は「熱の行き先」とセットで見る

  • 日射吸収率は、窓が吸収する日射エネルギーの割合
  • 日射透過率+日射反射率+日射吸収率は、おおむね100%
  • 吸収した熱は室外側と室内側の両方へ移る
  • 吸収率50%は、室内へ50%の熱が入る意味ではない
  • 遮熱性能は日射熱取得率・遮蔽係数もあわせて比べる
  • 熱割れは吸収率だけでなく、ガラス構成・方位・影・施工条件などを含めて検討する

日射吸収率は、遮熱フィルムの仕組みやガラス温度を考えるうえで大切な数値です。ただし、理想値は建物や窓の条件、求める明るさ・外観によって異なります。数値を一つだけ比べず、窓ごとに総合判断することが失敗を防ぐ近道です。

参考資料・出典・引用元

  1. 環境省「平成26年度実証対象技術の環境保全効果等」(PDF)(最終確認:2026年7月27日)
  2. 環境省 環境技術実証事業「ヒートアイランド対策技術分野」(最終確認:2026年7月27日)
  3. 環境省「窓用日射遮蔽フィルム等の実証対象技術募集」報道発表資料(最終確認:2026年7月27日)
  4. 日本規格協会 JIS R 3106:2019(最終確認:2026年7月27日)
  5. 日本規格協会 JIS A 5759:2024(最終確認:2026年7月27日)
  6. 日本板硝子「ガラス選定シミュレーションとは」(最終確認:2026年7月27日)

監修・執筆:窓ガラスフィルム専門店 ヨリ窓

本記事は一般的な情報提供を目的としています。製品の適合性や施工可否は、ガラスの種類・状態・施工環境・メーカー仕様を確認したうえで個別に判断します。

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