日射熱取得率とは?低いほど良い?数値の見方を解説|ヨリ窓
日射熱取得率とは?数値の見方・日射透過率との違いを専門店が解説
こんにちは!窓ガラスフィルム施工専門店のヨリ窓です🌿
遮熱ガラスや窓ガラスフィルムの性能表で、「日射熱取得率」という言葉を見かけたことはありませんか?
数値が低いほど良いように見えますが、夏の暑さ、冬の暖かさ、室内の明るさでは見方が変わります。まずは結論から、分かりやすく整理します。
30秒で分かる結論
日射熱取得率とは、窓に当たった日射エネルギーのうち、室内側へ入る熱の割合です。
ガラスを直接通り抜ける日射だけでなく、ガラスが一度吸収した後に室内側へ流れる熱も含みます。数値は通常0〜1、または百分率で表し、0.40なら所定の評価条件で約40%を室内側に取得するという意味です。
- 夏の暑さ対策:一般に数値が小さいほど日射熱を抑えやすい
- 冬の日だまり:数値が小さいと、暖かい日射も入りにくくなる
- 室内の明るさ:日射熱取得率ではなく、可視光線透過率も確認する
- 冬の断熱性:日射熱取得率ではなく、熱貫流率(U値)も確認する
日射熱取得率とは?窓から入る「太陽の熱」の割合
日射熱取得率は、建築分野で窓・ガラス・外皮などを通して室内側へ取得される日射熱の割合を表す指標です。記号は「η(イータ)」、海外資料では「SHGC」や「g値」と表記されることがあります。
考え方は、次の式で整理できます。
日射熱取得率 =(直接透過する日射熱 + ガラスに吸収された後に室内側へ流れる熱)÷ 窓に入射した日射熱
国立研究開発法人 建築研究所の技術情報でも、日射熱取得率は、部位を透過する日射と、部位に吸収されて室内側へ伝わる熱の合計を、入射日射で割った値として整理されています。
「日射透過率」だけでは、室内へ入る熱を判断できない
窓に当たった日射は、主に次の3つに分かれます。
- 透過:ガラスを直接通り、室内へ入る
- 反射:屋外側へ戻る
- 吸収:ガラスやフィルムが吸収し、その後、屋外側・室内側へ熱として流れる
日射透過率が低くても、吸収された熱の一部が室内側へ伝わることがあります。そのため、暑さ対策の総合的な判断には、日射透過率より日射熱取得率や遮蔽係数の方が実態に近い場合があります。
日射熱取得率の数値はどう見る?
日射熱取得率は、一般に数値が小さいほど室内へ入る日射熱が少ないと読みます。
| 日射熱取得率 | 室内側へ取得する割合 | 基本的な読み方 |
|---|---|---|
| 0.70 | 約70% | 日射熱を比較的取り込みやすい |
| 0.50 | 約50% | 入射日射の約半分を室内側に取得する |
| 0.30 | 約30% | 日射熱を比較的抑えやすい |
※上表は数値の読み方を示す説明用です。特定製品の性能値ではありません。実際の比較では、ガラス構成、枠、フィルム、試験・計算規格などの条件をそろえてください。
日射熱取得率0.60と0.35では、どれくらい違う?
同じ窓に600W/㎡の日射が当たり、ガラス面積が4㎡と仮定した簡易計算では、次のようになります。
- 日射熱取得率0.60:600W/㎡ × 4㎡ × 0.60 = 1,440W
- 日射熱取得率0.35:600W/㎡ × 4㎡ × 0.35 = 840W
- 差:600W
ただし、これは性能差を理解するための瞬間的な概算です。実際には、窓の方角、太陽高度、入射角、ひさし、雲、周囲の建物、枠、室内外温度などが影響します。この差がそのまま冷房消費電力や電気代の削減量になるわけではありません。
低いほど「必ず良い」とは限らない
夏の暑さ対策では、日射熱取得率が小さい窓が有利になりやすい一方、冬は日射を暖房の助けとして利用できる場合があります。南向きの窓、寒い地域、日中の在宅時間などによっては、冬の日射取得も大切です。
そのため、「一番低い製品」ではなく、「その窓で抑えたい熱と残したい明るさのバランス」で選ぶことが重要です。
日射透過率・遮蔽係数・熱貫流率との違い
窓の性能表には似た言葉が並びますが、それぞれ見ている対象が違います。
| 指標 | 何を示す? | 数値の見方 | 主な用途 |
|---|---|---|---|
| 日射熱取得率 | 直接透過する日射熱+吸収後に室内側へ流れる熱の割合 | 夏の遮熱では一般に小さいほど有利 | 窓・ガラスの総合的な日射熱評価 |
| 日射透過率 | 日射エネルギーが直接通り抜ける割合 | 小さいほど直接透過が少ない | 透過・反射・吸収の光学性能 |
| 遮蔽係数(SC) | 基準となる3mm透明フロート板ガラスに対する日射熱取得量の比 | 小さいほど基準ガラスより日射熱を抑えやすい | 窓ガラスフィルムの性能比較 |
| 可視光線透過率 | 人の目に見える光を通す割合 | 高いほど一般に明るさ・眺望を残しやすい | 室内の明るさ、見え方 |
| 熱貫流率(U値) | 室内外の温度差によって移動する熱量 | 小さいほど熱を通しにくい | 断熱・保温性能 |
よくある誤解
遮蔽係数0.50は「日射熱を50%カット」という意味ではありません。基準となる3mm透明ガラスの日射熱取得量に対して約0.50という比較値です。詳しくは「遮蔽係数とは?」もご覧ください。
また、SHGCやg値は日射熱取得率に関係する表記ですが、規格によって標準日射や室内外条件が異なることがあります。異なる規格・異なる試験体の数値を、そのまま横並びにしないことが大切です。
日射熱取得率の目安は?一律の正解はありません
日射熱取得率には、すべての住宅・店舗・オフィスに共通する「この数値以下なら正解」という基準はありません。地域、季節、方角、窓面積、用途によって必要なバランスが変わるためです。
参考として、建築研究所の2024年版技術情報では、Low-E複層ガラスについて、JIS R 3106の夏期の日射熱取得率が0.5未満を「日射遮蔽型」、0.5以上を「日射取得型」と整理しています。ただし、これはLow-E複層ガラスの区分であり、窓ガラスフィルムの良否を一律に0.5で判定する基準ではありません。
方角・使い方で優先順位が変わる
| 窓の条件 | 考え方 | 一緒に確認したい項目 |
|---|---|---|
| 西向き・東向き | 低い角度の日射が入りやすいため、夏は日射熱を抑える優先度が高くなりやすい | 日射熱取得率、遮蔽係数、眩しさ |
| 南向き | 夏の遮熱と冬の日射取得の両方を考える。ひさし・外付けシェードも有効 | 季節、ひさし、在宅時間 |
| 大きな窓・高層階 | 遮る建物や日よけが少ない場合、窓面積と日射時間の影響が大きくなりやすい | 面積、方角、眺望、反射感 |
| 店舗・ショールーム | 遮熱だけでなく、採光、商品展示、外からの見え方も重視する | 可視光線透過率、可視光線反射率、色調 |
窓からの暑さ対策を全体から比較したい方は、「窓の暑さ対策|遮熱フィルム・日よけ・カーテンの考え方」も参考にしてください。
遮熱フィルムは日射熱取得率だけで選ばない
遮熱フィルムは、日射の一部を反射・吸収し、室内へ取得する日射熱を抑えるように設計されています。既存の窓を交換せずに対策しやすい一方、日射熱取得率だけを見て製品を決めるのはおすすめできません。
フィルム選びで確認したい5つのポイント
- 元のガラスを確認する
単板、複層、Low-E、網入り、合わせガラスなどで施工可否や性能の表れ方が変わります。 - 同じ試験条件で比較する
「ガラス+フィルム」の組み合わせ、ガラス厚、規格、内貼り・外貼りなどをそろえます。 - 明るさと眺望を確認する
日射熱取得率が低くても、必ず暗いとは限りません。可視光線透過率と実物サンプルを確認します。 - 夏と冬の優先順位を決める
西日の暑さを優先するのか、冬の日だまりを残したいのかを整理します。 - 熱割れリスクを確認する
ガラスが日射を吸収して温度が上がると、ガラス構成や影のかかり方によって熱割れリスクが変わります。
性能表を見ても、どれが合うか分からない方へ
ヨリ窓では、窓の写真・サイズ・方角・ガラスの種類・残したい明るさを確認し、性能値を同じ条件で比較します。必要以上に濃いフィルムや、目的に合わない施工をおすすめすることはありません。
神奈川県・東京都・静岡県東部で、ご相談・お見積りは無料です。
無理な営業は一切ありません。窓1枚、費用の目安だけでもお気軽にどうぞ。
日射熱取得率が低くても、エアコンの代わりにはならない
遮熱フィルムは、窓から入る日射熱を抑える対策です。室内の空気を冷やす機能はなく、換気、屋根・壁の断熱、内部発熱、湿度などの影響も残ります。
そのため、暑い日はエアコンや扇風機等も適切に使い窓対策は冷房が効きやすい環境づくりを助ける方法として考えるのが正確です。
環境省・国土交通省・JISなどの公的資料から分かること
- 建築研究所の技術情報では、窓の日射熱取得率をJIS A 1493による測定、JIS A 2103による計算などに基づいて扱い、窓枠や付属部材の影響も考慮しています。
- 環境省の環境技術実証(ETV)資料では、フィルムを貼った窓について、日射透過分と、吸収後に室内側へ再放射される分の合計を日射熱取得率として説明しています。
- JIS A 5759:2024は、建築物の窓・出入口などに用いる建築窓ガラス用フィルムの現行規格です。製品比較では、現行版に基づく表示やメーカー技術資料を確認します。
- 気象庁は、日射を太陽から受け取るエネルギーと説明しています。窓の暑さは気温だけでなく、窓面へ当たる日射の量や角度にも左右されます。
- 資源エネルギー庁の教材には、夏の冷房時に外から入る熱のうち開口部が73%を占めるモデル図があります。ただし、これは特定条件のモデルであり、すべての住宅で一律73%という意味ではありません。
フィルムの規格について詳しく知りたい方は、「JIS A 5759とは?窓ガラスフィルム規格とCPマークの違い」もご覧ください。
日射熱取得率についてよくある質問
Q1. 日射熱取得率は低いほど良いですか?
A. 夏の暑さ対策では一般に低いほど日射熱を抑えやすい一方、冬の暖かい日射も入りにくくなります。地域、方角、窓面積、部屋の用途に合わせて選ぶことが大切です。
Q2. 日射熱取得率0.4は、40%の意味ですか?
A. 所定の評価条件では、窓へ入射した日射エネルギーのうち約40%を室内側に取得するという意味です。ただし、実際の窓では方角、入射角、ひさし、ガラス構成などが影響します。
Q3. 日射熱取得率と日射透過率の違いは何ですか?
A. 日射透過率は、日射が直接通り抜ける割合です。日射熱取得率は、直接透過する日射に加え、ガラスやフィルムが吸収した後に室内側へ流れる熱も含みます。
Q4. 遮熱フィルムで日射熱取得率を下げられますか?
A. 遮熱フィルムを貼ることで、ガラスとフィルムを組み合わせた日射熱取得を抑えられる製品があります。低減の程度は製品、元のガラス、施工面、試験条件によって異なります。
Q5. 透明な遮熱フィルムでも効果はありますか?
A. 明るさや眺望を残しながら日射熱を抑える高透明タイプもあります。ただし、見た目は日射熱取得率だけでは判断できないため、可視光線透過率・反射率・実物サンプルを併せて確認してください。
Q6. 日射熱取得率が低ければ、冬も断熱できますか?
A. 日射熱取得率は太陽の日射熱に関する指標で、室内外の温度差による熱移動を示す断熱性能とは別です。冬の断熱・保温性能は、熱貫流率(U値)なども確認します。
Q7. SHGCやg値は日射熱取得率と同じですか?
A. いずれも室内へ入る総日射熱を扱う関連指標です。ただし、規格ごとに標準日射や計算条件が異なる場合があるため、数値を比較するときは規格と試験条件をそろえてください。
まとめ|日射熱取得率は「低さ」だけでなく条件をそろえて比較
- 日射熱取得率は、入射日射のうち室内側へ取得する熱の割合
- 直接透過する日射熱だけでなく、吸収後に室内側へ流れる熱も含む
- 夏の遮熱では一般に小さいほど有利だが、冬の日射取得は減りやすい
- 明るさは可視光線透過率、断熱性は熱貫流率も確認する
- フィルムは元のガラス、試験条件、方角、熱割れリスクまで確認して選ぶ
暑さは抑えたい。でも、暗くしたくない。
そのようなご希望も、日射熱取得率・遮蔽係数・可視光線透過率を一緒に見ることで整理しやすくなります。ヨリ窓では、施工できるか分からない段階からご相談いただけます。
神奈川県・東京都・静岡県東部対応。窓1枚、相談だけでも大丈夫です。
参考・根拠資料・引用元
本記事は、以下の公的・一次資料を確認し、一般の方にも分かりやすい表現に再構成しています。製品性能は改定される場合があるため、施工時は最新のメーカー技術資料も確認します。
- 国立研究開発法人 建築研究所|第三章 暖冷房負荷と外皮性能・第四節 日射熱取得率(Ver.17・2024年4月)
- 国土交通省|中級者向け省エネ計算講習会 追補版抜粋
- 環境省|環境技術実証事業 ヒートアイランド対策技術分野 実証要領
- 日本規格協会|JIS A 5759:2024 建築窓ガラス用フィルム
- 気象庁|日射・赤外放射 さらに詳しい知識
- 資源エネルギー庁|わたしたちのくらしとエネルギー
情報確認日:2026年7月26日
執筆・監修
窓ガラスフィルム施工専門店 ヨリ窓|代表 早坂 弘貴
神奈川県・東京都・静岡県東部を中心に、住宅・マンション・店舗・オフィスの遮熱、UVカット、目隠し、防犯、飛散防止フィルムを施工。窓の方角、ガラス構成、用途、熱割れリスクを確認し、目的に合うフィルム選びをご案内しています。
※本記事は一般的な判断材料を提供するもので、個別の窓における性能や施工可否を保証するものではありません。